日経ホール 米良美一リサイタル
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- 2009/10/27(Tue) -
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10/17 東京大手町日経ホール
デビュー15周年記念リサイタルの最初をこの曲に決めた米良さん、 それだけで彼の思いの全てが痛いほどに伝わってきます。 「曼珠沙華」(ひがんばな) 詞:北原白秋 曲:山田耕筰 大正11年の歌曲集「AIYANの歌」の中の作品。 “AIYAN”とは福岡県柳川地方の方言で“良家のお嬢さん”の意。 身分の違う男性の子、生んではならない男性の子を身ごもった 孤独な女性の哀しみと怨念を、米良さんはまさにその女性の化身となって 歌い上げます。 多分、作詞した白秋も、この女性の心情をここまで歌いこむ歌い手 さんが現れるとは、夢想だにしなかったのではないでしょうか。 私は、白秋が米良さんの歌う「曼珠沙華」を聞く機会が、もしあった としたら、落涙絶賛の拍手を惜しまないこと、確信します。 ・・・・略・・・・・ 赤いお墓の曼珠沙華 今日も手折りに来たわいな ・・・・略・・・・・ 地には七本 血のように 血のように ちょうどあの児の年の数 ・・・・略・・・・・ 滴る紅い血が、曼珠沙華の「紅」と重なって、それから、曼珠沙華の、 人を死に至らしめる「毒性」とも重なって、“おどろ”な世界をイメージさせます。 米良さんの代表歌は「もののけ姫」「ヨイトマケの唄」などありますが、私は 「曼珠沙華」こそ米良さんの代表歌にしたい! 2曲目 「小さな空」 詞・曲:武満徹 ・・・・・ いたずらがすぎて 叱られて泣いた 子供の頃を 思い出した ・・・・・・ 夜空を見たら 小さな星が 涙のように 光っていた この曲は連続ラジオドラマのテーマソングだったそうですが、名曲ですね。 メゾソプラノの波多野睦美さんの歌も心打たれますが、今回の米良さん、 押さえた表現でやはり素晴らしかったです。 3曲目 「死んだ男の残したものは」 詞:谷川俊太郎 曲:武満徹 編:山田武彦 低音で歌われたこの「死んだ・・・・」も、なんと心にしみ入ることでしょう。 何人かの歌い手さんが歌うのを聴いてはいますが、反戦を訴えかける力は 米良さんが最高です。 「もののけ姫」で1部は終了し、アンコールでは5月に行われた「三文オペラ」 モリタートから。 これもまた米良さんの個性が光る逸品! 誰が何と言っても、あの舞台で米良さんが果たした役は、すごい! 最も難しい狂言回しの役どころ。 実に見事に役の性格を捉えて、巧みに進行を。 単に歌い手さんとしてだけではない、米良さんのエンターテイメントとしての 素晴らしい個性に巡り会えた幸せを感じた舞台でした。 まだまだ続きはありますが、今日はこんなところで時間切れになりました。 **************************************************** 米良さんの素晴らしさは、舞台以外でも、こんなところに輝きます。 今日、ポストに米良さんからのお便りを発見! 15周年記念のリサイタルが無事に終わったことのご報告とお礼でした。 それも筆書されたもので、どんなにお疲れであったかと想像するだけでも ご苦労が思いやられるのに、まことに頭が下がるばかりです。 ファンの一人一人を大切にしてくださる米良さん、今後のご活躍を 楽しみにしております。 |
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